紋切型社会

店主です。

こんな本を読みました。

定型文というか、世の中には決まり決まった言い回しや相槌の打ち方などがありますが、それに対して疑問を感じなくても良いのか?といった内容です。「全米が泣いた!」って全米って誰だよ?!みたいな。


この武田砂鉄という作家さん。恐らくとても疲れる生き方をしているような気がします。SNSで「いいね!」を稼ぐために、いかに読み手にとって心地よいフレーズをチョイスするか?ということに注力するのがスタンダードなこの時代。逆行どころかNOを突き付けます。


こう言うととにかく堅物でつまらなさそうに見えますが、読んでみるとなかなか笑えます。一部紹介してみたいと思います。


以下引用


”トム・クルーズならば「驚くことにスタントマンなしでした。全く信じられませんね」とスムーズな訳があり得るが、エディ・マーフィが全く同じテンションで同じ内容を喋れば「スタントマンなし? ったく、信じられるかい?」と訳してしまいたくなる。”


”なるほど確かに、「あたくしも賛成ですわ」「欠点がよくわかってよ」というお蝶夫人の言葉遣いはお嬢様のキャラの定番と化したが 〜中略〜 しかし日本中どこを探しても、「行って参りますわ」と学校へ出かけていくお嬢様はいない。”


”占い師はやってきた客に向かって開口一番「あなた、本当は誰にも言えない大きな悩みを抱かえていらっしゃるのでしょう」と問う。病みに病んだ訪問者はその場で「えっ、どうしてそんなことが分かるの?」と鼻の穴をピクピクさせて前のめり。冷静になろう。Yシャツを持ってクリーニング屋へ行けば「クリーニングですね」と対応してくれる。これと同じ働きかけにすぎないではないか。そこに来た目的を尋ねただけだ。”


いやぁ〜。冷めてますねぇ(笑)


斜に構えた視点は誰でも受け入れられるといったものではないと思われます。むしろ同意できる人の方が少ないのかな・・・?天邪鬼な人にはスッと入りやすいでしょうね。


僕ですか?もちろん楽しく読めましたとも(笑)