店主です。
最近読んだ本を紹介します。以前から興味はあったのですが、いつの間にか和訳版が出ていたので購入しました。
パンクロックバンド「バッド・レリジョン」のリーダーであり、UCLAの生物学の講師でもある著者が、自身のバンド活動を中心とした経験と、進化論と宗教の関係というアメリカ的な問題についての考え方を綴る。
(HONTO より引用)
僕のブログにも度々登場しますパンクバンド"BAD RELIGION"のボーカル。グレッグ・グラフィン。
コーネル大学で博士号を取得し、その後バンド活動と並行してUCLAで生物学の講師をしているというインテリパンクス。
世間的にはパンクというと暴力的で破壊こそが全て!みたいなイメージかと思いますが、この人のパンク論は少々異なり、
「この時代に、いかに流されずに自分を持ち立ち向かっていくか?」
前向きで内向的です。
ちなみにこの写真は少し前の時代のものです。猛々しいですね。
近年の姿がこちら。もう普通におじいちゃんですね笑
何しろ40年近くパンクロッカーなわけです。そりゃ多少は丸くなりますよ。
本題に戻ります。
進化論とパンクロック。その共通点は「アナーキー(無秩序)」であること。
厳粛なキリスト教社会では、人間をはじめ世界のあらゆるものは完璧な神によって創られたもの。
しかしこれは自然主義(存在や価値の根本に自然を考える立場の総称)の考えと衝突します。
実際に地動説を唱えたガリレオはキリスト教勢力から弾圧されました。時代は少しづつ変わっていき、進化論のダーウィンはそこまで弾圧は受けなかったそうですが・・・。
バッド・レリジョン(悪い宗教)というバンド名が示す通り、グレッグは無神論者で自然主義者。
以下抜粋
ちゃんとしたパンクロックは、経験に対する自由度、理由や証拠への依拠、通説への疑問を支持している。科学は自然主義の視点に基づいていて、定説に収まらず、それを疑問視するということである。新しいアイデアが登場して証拠に合うなら、古いやり方については考えを変えなければならない。チャールズ・ダーウィンが今日生きていたら、パンクロックには魅力を感じただろうと思う。
権威に対する疑問を持ち、実際に存在するものを自分の目で見て自分の考えで改める。それこそが大切なこと。そこが自然主義とパンクの共通点。
そしてこれは今の自分たちにもとても大切なことだと思います。
生物は自然選択によって「たまたま」今日の姿になっただけであって、創造主の意志が介入したわけではない。ましてや人間がどうこうできるものではない。だからこそ自然を尊重し、人間だけが持つ「過去から学んだ知識」を駆使して自然と共存していくことが大切なのですね。
実際グレッグの家の庭は、20年近く化学薬品を使わず、生態系のバランスを崩しやすい蔦植物やタンポポなどは間引いてコントロールしているそうです。
見かけはきれいなゴルフ場のグリーンは、プロが手入れした芝生の理想の姿だと偏った信じ方をして、芝一種だけにすることが最適な答えだと思い込んでいる。けれども、化学物質を芝生に加えれば、そのぶん、土中の害虫などを自ら調節する能力をだめにし、いろいろな緑の植物が自生する能力を損なうことになる。
最近はオーガニックの流行などでこのような考え方の人は増えてきているとは思いますが、実践するとなると・・・なかなか大変そうではありますね。
とはいえ、早く向き合わないといけない問題でもあります。
この本は進化論やそれにまつわるエピソードをはじめ、グレッグの少年時代、バンド時代や家庭に関するエピソードもありファンとしては嬉しいところ。
生物進化論とパンクロックを無理なく結びつけるというグレッグならではの良書でした。
久々にソロアルバムを発表したグレッグ先生。
ソロはパンクではなく、カントリーやブルーズ調。
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